テレビ・芸能 アーカイブ

メイン

2007年12月25日

連続テレビ小説「ちりとてちん」 BK史上最高傑作の誕生へ

 若手実力派女優・貫地谷しほりの主演で、事前から期待されたNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「ちりとてちん」。
 結論からいえば、あの「純情きらり」に迫るほど素晴らしい作品になっています。
 NHKに、まだこんな作品を生み出す力があったとは。それも、東京局に比べやや見劣りがするという評価もある大阪放送局の制作で。

 このままの調子でいけば、「ふたりっ子」を遥かにしのいで、BK朝ドラ史上の最高傑作となることは疑いありません。

 初めてとなる福井県を主な舞台に、一人の女性が落語家を目指して成長する物語。
 朝ドラとしては異例といえるほど自分に自信がなく、自己評価、自己肯定感の低いヒロイン・和田喜代美の少女時代から始まりました。

 偶然同姓同名で、喜代美と対照的にいつもスポットライトを浴びる清海(佐藤めぐみ)との関係を通じてコンプレックスを強めていった喜代美。
 祖父で若狭塗箸職人の正太郎(米倉斉加年)の言葉や友達の久ヶ沢順子(宮嶋麻衣)の激励を受けて、何とか自分の人生を切り開こうと大阪へ出て、偶然の出会いを通じて落語家の徒然亭草若(渡瀬恒彦)のもとでやがて修行を積むことになりました。

 始めから小気味よいテンポで楽しく見てきましたが、喜代美の奔走で徒然亭の再興へ第一歩を踏み出した第7週あたりからは、毎日のようにテレビの前で涙、涙…。
 「恋あり笑いあり涙ありの人情エンターテイメント」(制作統括・遠藤理史氏)という文句通りの展開になっています。

 3年前の徒然亭一門会の寄席という晴れ舞台で、愛妻の志保が余命わずかであることを宣告されたショックで高座に上がれなかった草若。この一件以来大阪の舞台に出演することはできず、徒然亭一門は廃業同然となっていました。
 喜代美は、散り散りになっていた弟子たちを草若のもとに呼び戻そうと努力します。

 特に泣けたのは、ホームセンターのような店の店員として働いていた一番弟子の草原(桂吉弥)が、落語家の道に戻ることを決意するシーン。
 妻と息子の颯太とともにそれなりに安定した生活を送っている草原は、今の生活を邪魔しないでくれと喜代美の頼みを断ります。
 しかし、妻の緑(押元奈緒子)は「私と颯太は幸せだけど、まーくん(草原の愛称)の笑顔は見てないよ」と、草原が本当は心の奥で落語家に戻りたい気持ちを持っていることを知っていて、温かく背中を押します。
 そこに、「せをーはやみー」と、落語「崇徳院」の一節を真似する颯太の声が響きます。
 喜代美の熱意と家族の眼差しに勇気づけられ草原は、「われてもすゑにあはんとぞ思ふ」と、一度は決別した落語の道へ戻る決意をするのでした。

 草若の家の向かいの居酒屋「寝床」で細々と始めた徒然亭一門の落語会。そこには、まだ高座に戻る決意の固まらない草若の名前はありませんでした。
 草若が3年前に一門会を欠席した理由を誤解していたために草若と関係が断絶していた、息子で三番弟子の小草若(茂山宗彦)は、その理由を知ったあとの高座でボロボロと涙を流しながら「寿限無」を演じます。
 亡くなった母への思慕と、父への屈折した感情を胸にしまい込んで、売れっ子芸人として虚勢を張っていた小草若の涙。こちらも泣けました…。
 感情を抑えきれずに高座を降りた小草若に代わって、二番弟子の草々(青木崇高)が「お前が上がれ」と促されていたその時、ついに草若が、客席から高座へ…。スローモーションのこのシーンに思わず息を飲むほど、すでにこのドラマに感情移入していました(笑)。

 四人の兄弟弟子の中で唯一、草若のもとを離れず、復活を夢見てきた草々。草若に稽古をつけてほしいと頼むと、草若は落語家に似合わないそのアフロヘアーを何とかしろ、といいました。
 草若のそのセリフでようやく、気づかされました。落語家である草々がなぜあんな髪型をしていたのか。
 「師匠がそういって下さるのをどれだけ待っていたことか」と涙をこぼす草々でした。

 自分は何もなしとげることができないと思い込んでいた喜代美の奔走によって、徒然亭草若という落語家が甦り、徒然亭一門の再興が始まったのでした。
 自分のことも変えられないと思っていた喜代美が人を変えていった。その時の喜代美はもう明らかにそれまでの自分から脱皮していました。まだ、そのことに気づかないだけでした。

 ドラマの素晴らしさは当然ながら、脚本だけではなく俳優陣の目を見張る好演によって支えられています。
 小浜の和田一家を構成する父・正典(松重豊)、母・糸子(和久井映見)、祖母・小梅(江波杏子)、叔父・小次郎(京本政樹)、それに序盤だけの出演だった米倉らはいずれも素晴らしい。
 正太郎を演じる米倉の存在感は圧倒的。「一生懸命生きてさえおったら、悩んだことも落ち込んだこともきれいな模様になって出てくる」と、塗り箸になぞらえた正太郎の言葉はドラマを貫く重みがあります。
 また、特に素晴らしいのは和久井。今まではどちらかとえいば清楚で可愛らしい女性を演じてきた和久井が、今回はゲンキンで落語家も真っ青のオトボケ母ちゃんを熱演。誰よりも喜代美を心配し、おせっかいだけど彼女を包み込む優しさに、こちらも心が温まります。
 小次郎役の京本は色物キャラで一歩間違えれば物語の中で浮いてしまうのですが、人物配置と演出の妙、そして京本自身の好演によってスパイスのような効果的な存在になっています。

 徒然亭一門の弟子たちを演じる俳優もいちいち素晴らしい。
 草原役の桂は唯一本物の落語家で、師匠の草若より落語がうまいのが欠点か(笑)。面倒見がよく優しい兄弟子を好演する姿に、ファンになってしまいそうです。大河ドラマ「新撰組!」に出ていたことをすっかり忘れていました。
 青木も、早くに両親を亡くし、草若と師弟愛に留まらず本当の家族のように強い絆で結ばれる草々役を熱演。ヒロインに最も影響を与える人物の一人です。
 四番弟子・四草の加藤虎ノ介もクールで理知的なキャラクターを、小草若の茂山もさきほどふれた高座のシーンをはじめ、文句ない好演です。
 そうそう、もちろん草若師匠の渡瀬恒彦も温かくて魅力的。他の一門の落語家を殴った小草若をかばって自分が殴ったと嘘をついた草々を叱り付けたシーンは珠玉でした。

 その渡瀬は、ヒロインの貫地谷について「彼女は強敵。負けたくない」と語っています。
 渡瀬をしてこういわせるとは、恐るべし貫地谷しほり。
 三枚目、コミカルなシーンから、ぐっと胸に迫る表情まで、実に安定した演技。今、朝ドラアカデミー賞をやれば「純情きらり」の宮﨑あおいを抑えて最優秀主演女優賞になると思われます(笑)。
 今回のヒロインにぴったりの彼女。彼女の演技力もさることながら、彼女をオーディションでヒロインに選んだことにも拍手を送りたいです。

 最後になりますが、将来の喜代美の立場でナレーションを務める上沼恵美子も、落ち着いた口調でよい。スタッフロールを見るまで誰だか気づきませんでした。

 オープニングテーマのピアノ演奏が松下奈緒ということに驚き。というか彼女がピアニストでもあったということに驚き。
 佐橋俊彦の音楽がまた素晴らしく、物語の感動をいっそう盛り上げてくれます。

2007年12月 7日

マナカナが朝ドラヒロイン再び!

 驚きました。来年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「だんだん」(大阪局制作)のヒロインに、三倉茉奈・佳奈が起用されるとのことです。

 僕が知る限りでは、同じ俳優が朝ドラの主役を2回務めるのは例がないと思います。
 いうまでもなく、この双子の姉妹は1996年の「ふたりっ子」でヒロインの幼少時代を好演。お茶の間の人気者になりました。

 とても可愛いマナカナ姉妹に、それ以来ずっと注目してきました(笑)。ただ、それほど多くテレビで見る機会はありませんでした。
 今では関西学院大の4回生。大人になってますますきれいになりました(*^^*)
 明るく、気さくで、すれたところや下品さがないのが魅力です。

 二人はテレビドラマへの出演は少なく、僕も「ふたりっ子」以来ほとんど演技を見たことがありません。
 なので、演技力は未知数。はたして朝ドラヒロインとして堪えうるのか。舞台での経験を信じて期待したいです。

 ちなみに、この二人、写真を撮るのが好きで、ブログに掲載している本人たち撮影の写真はなかなかのセンスを感じさせます。

 「だんだん」は、初めて島根県を舞台とする作品。松江市は僕も行って見たいと強く思う土地です。良作となることを願います。 

2007年10月 8日

2007年秋ドラマ

 夏ドラマが終わり、秋ドラマが始まっています。
 今年の夏は仕事が忙しかった上に、異動・引っ越しがあり、8月は殺人的な忙しさでした。
 ドラマを見る時間もなくなり、ビデオに録画してあります。NHK大河「風林火山」と朝ドラ「どんど晴れ」も何十回分もたまっています(笑)。
 ビデオ10本分くらいになってしまい、友人からはHDD&DVDレコーダーを早く買えといわれました。ビデオに戻れない便利さがあることは重々承知しています。
 でも、今の僕にとって、そんなとこに回しているお金はありません(笑)。ニコンの新フラグシップ機のための貯金や、今のうちにしか見ることのできない車輌を追う旅のことを考えると、そんな贅沢品は買えません(笑)。

 そんなわけで、まだ「女帝」の最終回を見ていないので、夏ドラマの批評は後日あらためて。

 今期の視聴予定は、シリーズ物の続編やNHKの時代劇と、定番もの志向になっています(笑)。

●浅草ふくまる旅館 火曜、20:00、TBSテレビ系
 今年1月から放送されていたドラマの続編。東京の浅草を舞台に、西田敏行演じる旅館の主人を中心として人情味あふれるストーリーが展開する。
 ほとんどのキャストが変わらない中、長女・美穂役がパート1の大塚ちひろから黒川智花に交代。僕はどちらも好きなので悩ましいところだ(笑)。
 多少先が読めてしまうとはいえ、泣かせる人情劇が魅力。物語によりいっそう深みを持たせられるか。

期待度 ★★★★

●風の果て 木曜、20:00、NHK
 いつも気になっている木曜時代劇。今回は藤沢周平作品に、主演は佐藤浩市と、これは必見…なのだが、脚本は「利家とまつ」「天花」の竹山洋。猛烈に不安である(笑)。
 出演者は佐藤浩市、遠藤憲一、石田えり、仲村トオルと、文句のつけようがない布陣。重ねて言うが、不安なのは脚本だ。
 期待度も微妙な付け方となった(笑)。

期待度 ★★★


●3年B組金八先生  木曜、21:00、TBSテレビ系
 今年で29年を迎える、シリーズ8作目。
 今の日本は、自民党政府が人間の尊厳をぼろぼろに切り裂くような政治を進めていることによって教育が崩壊させられている。
 現場の教師たちの必死の努力によって子どもたちが辛うじて守られているといっても過言ではない。
 これまでその時々のテーマを取り上げてきたこのドラマが今何を発信するのか、興味深く観たい。

期待度 ★★★★★


●歌姫 金曜、21:00、TBSテレビ系
 昭和30年代の高知・土佐清水を舞台に、人情味とユーモアあふれる人々の一生懸命に生きる姿を描く。
 舞台で大好評となり、再演、再々演されたという作品。戦争によって運命を狂わされた男と、彼を一途に愛した女性のラブストーリーでもあるという。
 プロデューサーは話題作の多い磯山晶。主演の長瀬智也と、相武紗季がどこまで頑張れるか。
 良作となることを期待したい。

期待度 ★★★★


●モップガール 金曜、23:15、テレビ朝日系

 葬儀社で働く桃子(北川景子)が、タイムスリップして現世に強い思いを残したまま死んでしまった人のために奔走するというファンタジー。小説のドラマ化。
 何より、葬儀社を舞台とするドラマは珍しく、興味を惹かれた。
 主演の北川景子の演技を見たことは無いが、「注目の若手女優」とのことなので、この目で確かめたい。谷原章介、佐藤二朗といった俳優陣も僕の好みだ。

期待度 ★★★★

 「風の果て」が不安を覆す結果になってほしいです(笑)。
 「歌姫」、「モップガール」にも期待。

[関連する記事]

2007年7月 5日

2007年春ドラマ批評

 春ドラマ、ファースト・インプレッションで取り上げた7本すべて見てしまいました。
 それだけ今期は面白い作品が多かったといえるでしょう。
 「セクシーボイスアンドロボ」、「特急田中3号」という2本の傑作が生まれました。

 それぞれ全く異なる方向性を向いているようでいて、実はこれらの作品には前を向いて歩いていこうとする人間の姿や、家族、仲間とのつながりを描き、希望を感じさせるという共通項が度合いの差こそあれあったように感じました。

 特に「セクシーボイスアンドロボ」と「夫婦道」の2作品は、大人にしか絶対に理解できないであろうよさがあったと思います。

プロポーズ大作戦 月曜、21:00、フジテレビ系 ★★★★
 幼なじみの吉田礼(長澤まさみ)にずっと思いを寄せながら、それを伝えられないまま礼と別の男性との結婚披露宴を迎えた岩瀬健(山下智久)がタイムスリップして過去を変えようと悪戦苦闘。

 何回ものタイムスリップによっても礼との関係を大きく変えることはできず、披露宴の友人あいさつで初めて素直に礼に向けて自分の気持ちを告げた健。「この言葉にたどりくつのに時間がかかってしまったけど…、結婚おめでとう」と振り絞るシーンは胸に迫るものがあった。
 実は健と同じくらい過去を悔いている礼にも自分の気持ちに正直になるよう妖精(三上博史)が促すことで、物語の最後で健と礼が結ばれる…という結末となった。

 「過去を変えようとする」という形をとって、自分を変えることの難しさ、大切さ、自分を変えることができた時に初めて新しい素敵な世界が開けるということをこのドラマが伝えたように感じた。
 男女5人の高校時代から続く友情が爽やかだった。山下、長澤が好演。共演の平岡祐太、栄倉奈々、濱田岳もとてもよかった。
 健と同じように不器用で、誠実な、礼の婚約相手・多田先生を演じた藤木直人もいい。最終話、自分の気持ちに迷っている礼を促すために、「賭け」といいながら実は両手に袖のボタンを握っていたシーン(「やっぱり!」と思った)が印象的だった。

セクシーボイスアンドロボ  火曜、22:00、日本テレビ系 ★★★★★☆
 今期の最高傑作。あの「のだめ」以来の満点★5つ超え!
 ロボットオタクの青年・ロボ(松山ケンイチ)と、七色の声とずば抜けた聴力を持つ女子中学生・ニコ(大後寿々花)が様々な事件に巻き込まれ、解決してゆくという冒険活劇。

 シュールでファンタジックな設定、ストーリー展開の中に、人生や日々の生活の中で大切にしたい価値観が熱くこめられていた。
 一言でいうなら、人間に対する信頼、ヒューマニズムの追求ともいえ、今の腐朽した日本社会へのメッセージと受け取れた。

 最も素晴らしかったのは第2話「ごぼ蔵」だ。
 村上淳演じる強盗犯・後藤に脅されて伊豆へ車を走らせるロボとニコ。伊豆で後藤はある女性のお腹のあたりに向かって泣きながら、だらしない人生を送っていた自分の過去を詫びた。
 後藤は、亡くなった恋人から移植された腎臓に向かって詫びていたのだった。そのために強盗までしていたのだ。
 自首する後藤を見送りに警察署の前まで来たロボとニコ。「ここで」と別れを告げようとする後藤に、「いや、あと5歩」というロボ。「人に優しくされるのって、いいな」といって後藤は警察のドアをくぐっていった――。

 松山と大後の演技が類例なきほど秀逸。僕は今まで松山のことを知らず、このドラマを見てから映画「デスノート」も見たが、彼がなぜこれほど人気なのかわかった。
 大後はまだ13歳だが、どう言葉でいい表せばいいのかわからないほどの高い演技力を披露した。とりわけ、自分にセリフがなく、ロボら他の人物が話している場面での表情、目の使い方などを見ると、彼女が「子役」などという範疇をとうに抜け出して、すでに一流の女優になっていることを思い知らされる。
 演技力の点ではもうすでに日本を代表する女優。明日NHKの朝ドラヒロインや大河の主役、フジ「月9」の主役になっても大丈夫だ。むしろ、大後の才能のむだ遣いにならないような上質な作品の制作が求められるだろう。

 DVD購入決定。今後、松山と大後の活躍からも目が離せない。
 共演した浅丘ルリ子、岡田義徳もとてもよかった。

夫婦道 木曜、21:00、TBSテレビ系 ★★★★☆
 武田鉄矢と高畑淳子の夫婦役は、これほど息の合った組み合わせは見たことないくらいだった。
 「何も事件が起きない、家族の日常」を描くという前宣伝のわりには、結構事件の連続ではあった(笑)。

 武田演じる製茶業の主人の、品質の高いお茶づくりに傾ける情熱や、さまざまなできごとを通じて確かめられ、深まる親の子への愛情、家族の絆が描かれた。
 笑いあり、涙あり、一服の美味しいお茶のようなほっとさせるドラマだった。

わたしたちの教科書  木曜、22:00、フジテレビ系 ★★★★
 一人の女子中学生・藍沢明日香(志田未来)の転落死をめぐり、弁護士・積木珠子(菅野美穂)が、いじめを隠蔽する学校の体質とたたかった。

 「当校にいじめはない」と言い張る副校長(風吹ジュン)、教師に対する「指導力不足」のレッテル張り
、1学級の生徒数も多く、業務に忙殺されて生徒と向き合えない教師たち。教育現場の現状の一端が批判的に描かれた。
 これらの問題は、長年の自民党政治のもとでの教育行政がもたらし、教育基本法の改悪や安倍内閣の施策によってますます酷くされようとしている。
 文字通りタイムリーなテーマを取り上げた意欲作となった。

特急田中3号  金曜、22:00、TBSテレビ系 ★★★★★
 鉄道ファン、鉄道趣味を正面から取り上げた、おそらく史上初のドラマ。鉄道オタクとして、まずこのことに拍手を送りたい(笑)。 
 鉄道の知識や鉄道オタクの生態をとらえた演出なども、事前の予想を上回る出来となった。そのあたりはエントリー「鉄オタに追い風は吹くのか(6)」を参照してほしい。

 鉄道オタクたちの鉄道への情熱と、進路や仕事、人間関係で模索する若者のエネルギー、成長とをうまく重ね合わせた青春ドラマにうまく仕上げたことは、少々驚きだった。
 主要登場人物である、田中一郎(田中聖)、花形圭(塚本高史)、桃山誠志(秋山竜次)、目黒照美(栗山千明)、渋谷琴音(加藤ローサ)、小島理子(平岩紙)の人物像が素敵だった。
 それぞれ、弱さも持ち、挫けそうにもなりながら、前に向かっていく強さもあった。
 互いに誠実に向き合い、友情や愛情を深めていく彼、彼女らは、本当にこんな6人がいたらいいなと思わせた。

 田中一郎の大ボラ吹きは、不安と暗中模索の裏返しでもあった。家族と仲間を大切にし、困っている人を助ける彼のキャラクターは気持ちよかった。

 印象的だったのは第9話のラストで、田中と照美がベッドから転げ落ちて偶然キスしてしまうシーン。
 二人でベッドに腰掛け、田中が照美の涙をそっとぬぐうのだが、そのぬぐったものが脱ぎ捨てた自分の靴下だったことに気づいた田中が慌てて隠そうとし、照美が「何を隠した」と揉み合った末…のできごと。
 転げ落ちて唇を重ねるというのだから、さぞ何回も撮影を繰り返したか、別に撮ったものを組み合わせたかと思いきや、2カットでOKを出したというから驚きだ。
 靴下と気づいた直後の田中の慌てぶりの演技は非常に素晴らしかった。全編通じて「たったひとつの恋」に続く名演で、もはや田中聖は数少ない僕の好きなジャニーズタレントとなった(笑)。

 この作品もDVD購入決定。

ライアーゲーム  土曜、23:10、フジテレビ系 ★★★★
 このドラマを見た最大、唯一の理由は戸田恵梨香が主演であることだ(笑)。
 序盤は今一つな気がしたが、「少数決」など、人々の心理的な駆け引きと欲望のぶつかり合い、欲望にとらわれた者たちの見境のなさが描かれ、見応えを増していった。

 登場人物の中でただ一人、「みんなが助け合えば、誰も苦しまないじゃないですか」という神崎直(戸田)の主張は、物語の最後で、人を騙す人間の中にも辛うじて残っていた人間らしい心に響いた。
 「正直者が馬鹿を見る」「人は常に争い、互いを蹴落とす」という通念へのアンチテーゼを示したものだった。

 無邪気で誠実な神崎を戸田が好演。元天才詐欺師で神崎を助ける秋山深一を演じた松田翔太と併せ、配役がぴったりだった。

冗談じゃない! 日曜、21:00、TBSテレビ系 ★★★
 年の離れた妻の母が、昔の恋人だったことがわかるというシチュエーション・コメディ。
 それほど深みはないが、難しさを感じずに楽しめる作品だった。

 僕が子どものころから「トレンディー俳優」として活躍している織田裕二と、そのころ生まれた上野樹里が夫婦役というところに感慨深いものがあった(笑)。

2007年7月 3日

2007年夏ドラマ

 春ドラマが終了して間髪入れず夏ドラマが始まりました。
 今回は春ドラマの批評と順番を入れ替えて、夏ドラマの展望を先に書いてしまいたいと思います。

 今期、「月9」はパス。全体で視聴予定は4本と、最近の僕にしては少なめ(笑)です。
 なお、既に第1回が放送され、視聴したものもあるので、そのことを加味してあります。


●牛に願いを Love&Farm 火曜、22:00、フジテレビ系
 玉山鉄二、小出恵介、中田敦彦(オリエンタルラジオ)、相武紗季、香里奈、戸田恵梨香演じる6人の農大生が北海道の小さな酪農の町を研修で訪れ、「命の大切さ」「人との出会い」といった経験を通じて成長していくドラマ。

 本気で農業、酪農業に関わろうという気はなく、単位取得のために研修に参加した学生たちが、この町でしかできない体験を通して「熱さ」を取り戻してゆく、ちょっとベタな展開が予想される(笑)。
 実際、初回を観てもその通りで、ベタ注意報発令だ(笑)。
 ちょっとストレート過ぎる感もあるが、酪農を取り巻く厳しい状況についても触れられている。

 初回ラストの牛の出産シーンはどうやって撮影したのかと思うほど現実感と緊張感に満ち溢れ、俳優たちの演技も光った。
 お決まりの青春ドラマになるきらいもあるかもしれないが、酪農をテーマに選んだこのドラマがいいものになるとことを期待したい。

期待度 ★★★★


●女帝 金曜、21:00、テレビ朝日系
 わが九州・鹿児島出身で、「特急田中3号」で鉄道に興味が出たという加藤ローサを、「Hoso's page」は全力で応援すると宣言した(笑)。よってこのドラマは観なければならない(笑)。

 ストーリーは、「金と権力を振りかざす人間たちに人生を翻弄されたヒロインが復讐に燃え、夜の世界でのし上がっていく」というもの。
 正直あまり興味ないが(笑)、縁遠い世界について触れてみるのもたまにはいいだろう。

 初主演の加藤がこれまでと全く異なる役どころに挑戦。はたしてどうなるか。
 脇を固めるのが実力派の俳優たちであるのは心強い。

期待度 ★★☆


●ライフ 土曜、23:10、フジテレビ系
 高校でのいじめをリアルに描写し、「そこへ立ち向かっていく勇気や希望を描くハード系青春ヒューマン・ストーリー」とのこと。
 前期の「わたしたちの教科書」(フジテレビ系)に続き、いじめを取り上げたドラマが作られる。

 「そこへ立ち向かっていく勇気」という言葉にあるように、いじめ問題を社会的な視点で掘り下げる作品ではないようだ。
 しかし、原作の漫画が中高生に人気であるらしいので、その理由、この作品がいじめ問題にどういうメッセージを伝えるものになるのかには注目したい。

 「純情きらり」、「14才の母」で脇役を演じた北乃きいが初主演。「金八先生」でドラマデビューした福田沙紀が共演する。
 色々目移りしているように見えるが(笑)実は僕がいちばん好きな女優・酒井美紀が出演する。このドラマを見る理由もそこにある(笑)。

期待度★★★


●パパとムスメの7日間  日曜、21:00、TBSテレビ系
 ある日、父親と、娘の女子高生の人格(肉体)が入れ替わってしまうという、ある種定番の架空状況をモチーフとしたコメディ。
 サラリーマンの父親役に舘ひろし、娘役に新垣結衣。

 それほど期待せずに初回を観たが、女子高生のしゃべり方、仕草を熱演する舘ひろしに抱腹絶倒。
 舘ひろしが娘で、新垣結衣が父親で…、観ていて何度も頭が混乱しそうになり、緊張感すら感じる(笑)。そこがまた面白い。

 娘が小さいころは仲良かったのに、成長とともに関係がとても疎遠になっていたという父娘の設定。まだ2人の体が入れ替わる前に、舘が、娘が小さいころのビデオを繰り返し再生している姿がベタだけど切なく笑いを誘った。

 2人が入れ替わったことによって、お互いのことを理解していって、間にある溝を少しずつ埋めてゆく。そういうストーリーの展開が初回から窺えた。
 腹を抱えて笑え、しかも心温まる、翌日の月曜からまた元気になれる(笑)ドラマになりそうだ。

期待度★★★★☆

2007年7月 1日

NHK朝ドラ「どんど晴れ」への苦言

 NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「どんど晴れ」の放送開始から3ヶ月が過ぎました。
 開始からわずか10日の時点で「黄信号」と書いた僕ですが、意外にその後も順調に観続け、折り返し地点に。おそらく最終回まで観続けられそうです。

 前回の記事で既に指摘したことを含め、「どんど晴れ」には色々と違和感を覚えることがあります。
 でも、朝ドラファンとしてある程度のことには目をつぶろうとも思います。

 浅倉夏美(比嘉愛未)が加賀美征樹(内田朝陽)になぜそこまで惹かれるのかよくわからないことも、夏美が自分の人生を大きく変えてまで老舗旅館の女将になりたいと言い出す動機が十分には鮮明でないことも、さらには、自分が女将になりたいということでその老舗旅館の後継者問題を複雑にさせるということに夏美がなんら頓着しないということ、あげくに征樹との婚約を解消してまで女将修行するという何だか頭が混乱してくることにも、違和感をこらえて目をつぶろう。

 いかにも夏美の恋敵登場とばかりに、征樹の元恋人で同僚役で出てきた相沢紗世があまりにベタ過ぎて、その演技もちょっと微妙。…だけど相沢を責めるのはちょっと酷で、やっぱり脚本の問題だろう。
 高橋元太郎、鈴木正幸という、日本を代表する超定番ドラマで長く演じてきたバイプレーヤーを起用しながら、その持ち味が活かされているのかいないのかちょっと微妙なところも、
 ことあるごとに夏美を「座敷わらし」に重ねようとするのが少しおしつけがましくないか?ということも、
 女将修行のライバル・彩華(白石美帆)の登場も、一瞬老舗旅館の乗っ取り画策か!?と思わせて、なんだか「天花」に加えて「ほんまもん」テイストも加わってきた…?

 ――ということ、一切合財みんな目をつぶろう(笑)。

 だけど、どうしても我慢できないことが一つあります。それは、加賀美屋の仲居たちのことです。
 ドラマを盛り上げるために、夏美に降りかかる困難を描こうとするあまり、夏美に冷たくあたる仲居たちの言動が非常に品の無いものになっています。板長もあまりにも人間としての器が小さく描かれています。
 一部の仲居たちがやっていることは、夏美に対する陰口や陰湿ないじめそのものです。

 これが、伝統と格式を重んじる老舗旅館「加賀美屋」の仲居なのかと驚くばかり。僕だったら、絶対にこの旅館に宿泊したくはありません。
 これが盛岡一の老舗旅館という設定では、盛岡のイメージダウンにもつながりかねないのではないでしょうか。
 最前線で宿泊客に接する仲居たちがこれでは、おもてなしを身上とする加賀美屋の精神はいったいどこにいってしまったのかと思います。

 NHKの公式サイトによれば、脚本を努める小松江里子氏は、「相手を敬い、思いやりを持ち、笑顔で迎え入れる、そんな『もてなしの心』」を描くといっています。
 チーフ・プロデューサーの内藤慎介氏は、「思いやり」や『気配り』といった、古くから日本人が大切にしてきた価値観を『老舗旅館』という場を借りて改めて見つめ直すドラマにしたい」と意気込んでいます。

 あの仲居たちの描写は、こうした抱負と明らかに矛盾するものではないか。夏美が「もてなしの心」を会得する舞台であるはずの加賀美屋にその心は生きていないのか、疑問がわきます。
 物語の核となる部分でのことだけに、とても残念です。

 脚本にこうした矛盾や無理がある中で、ヒロインの比嘉愛未は演技面でなかなか健闘していると思います。
 夏美の親友役として出ている川村ゆきえも連続ドラマ初出演ながら、予想を大きく上回る好演をしています。
 草笛光子、長門裕之という大俳優の演技は僕をホッとさせてくれます(笑)。

2007年5月 3日

「純情きらり」DVDを購入

D20_2758-m.jpg ちょうど1年前の今頃放映されていたNHKの連続テレビ小説「純情きらり」のDVDを購入しました!
 僕が朝ドラのDVDを買うのは初めてのこと。そもそもドラマのDVDが初めてです。

 この作品はおそらく朝ドラ史上の最高傑作。何十年に1本という傑作ですから、DVDを買うことはもう決まっていました。
 買ったのは総集編ではなく、完全版のDVDBOXの1巻。2、3巻はまたあとで購入します。BOX1巻につきDVDが4本入っています。

 1巻は3月に発売されたばかりで、オークションで9000円ちょっとで手に入れました(定価14000円)。もっと気長に待てば中古市場でもそのうちもっと安く手に入るかもしれませんが、手を出してしまいました(笑)。
 PCで少し再生してみると、1年前の懐かしいシーンが。本当に、こんなに胸を熱くさせてくれる朝ドラは後にも先にもこの作品だけかもしれません。

 「ファイト」のDVDもいつか買おうと思っています。しかし、こちらはまだ総集編だけで完全版は出ておらず、出る予定もないようです。
 しかし、「ファイト」は「純情きらり」に次ぐ傑作だと思っているので完全版は必ず出してほしいと思います。

 「ファイト」では、ヒロインの本仮屋ユイカが教室で弁当の卵焼きを床に落とし、それを親友に誤って踏まれるというできごとと、親友に裏切られた悲しい気持ちを重ね合わせたシーンがありました。
 そこでの、涙をこらえながら父(緒形直人)がつくってくれた弁当を頬張る場面は、彼女がその作品中で見せた最高の演技だったのですが、本編放送終了後に放送された総集編ではあろうことかそのシーンがカットされていました。NHKは制作者でありながら「ファイト」での本仮屋の演技の素晴らしさを全くわかっていないと憤慨したものでした。

 なので、NHKに完全版の刊行を要望したいと思います。「天花」だって完全版があるのですよ(笑)。

2007年4月24日

仙台で「タモリ倶楽部」が見られない

 深夜番組の代表ともいえる「タモリ倶楽部」。
 僕は決して視聴歴が長くないので正確にはいえませんが、ありとあらゆる社会現象、それも他の番組が決して取り上げることのないものを取り上げ、タモリらがそれを見学・体験したり、他ではやらない企画を実現する、「遊び心」満載のバラエティ番組です。
 ただマンホールを見て歩く企画や、台本の製本を体験する企画、銭湯の煙突掃除の中継など、非常にマニア好みでありながら人気の続く長寿番組(1982年放送開始)。昨今ようやく日の目を見つつある「オタク」文化の先駆けといえるかもしれません。

 その「タモリ倶楽部」が、4月から宮城県で放送されなくなってしまいました。とても残念です。
 僕がこのことを残念がるのは、「タモリ倶楽部」が単に面白いからだけではありません。
 この番組は、タモリが大の鉄道ファンであることもあり、近年鉄道ネタの企画が多いのです。

 ○貨物時刻表をもとに貨物列車を見る
 ○部屋の窓から鉄道が見えるホテルの格付け
 ○線路の近くで次にどんな列車が来るかを予想する「埼京線ダービー」

といった調子です。

 番組中ではタモリが電車の運転士や電車のジョイント音やアナウンスの物まねをして悦に入ったり、原田芳雄や向谷実(カシオペア)をはじめとする鉄道ファンの芸能人が多数出演したりします。
 ホリプロのマネージャーの南田裕介はマネージャーでありながら鉄道ファンということで半ば常連出演者になっています。

 先日も「来てよし!見てよし!休んでよし!今夜決定!三ツ星ステーション」というタイトルで、全国の(鉄道ファンにとって)魅力的な駅を紹介するという企画があったのですが、番組表を見ると「タモリ倶楽部」がない!
 ネットで宮城県での同番組の放送終了(休止?)を知って落胆したのでした。
 まあYoutubeでばっちり見られたのでよかったですけど(笑)。

 東日本放送(テレビ朝日系)には「タモリ倶楽部」の放送再開を強く要求します(笑)。

[関連する記事]

2007年4月22日

2007年春ドラマ ファースト・インプレッション

 6本ものドラマを見始めてしまった今期。しかも、そこに「ライアーゲーム」が加わって7本になってしまいました。

 当初、あまり期待させる作品がないと思いながら見始めたのですが、1~2回観たところ意外と面白いものが多く、困っています(笑)。
 中でも、「セクシーボイスアンドロボ」が飛び抜けて秀逸です。
 各作品の印象を少し。
 ※春ドラマのプレビューについてはこちらを参照して下さい。

プロポーズ大作戦 月曜、21:00、フジテレビ系 ○
 過去へのタイムスリップや三上博史演じる「妖精」の登場という空想的要素を交えつつ、青春の甘酸っぱい恋愛を描く。
 山下智久、長澤まさみという、おそらく今の若い層にとって最強タッグの「月9」。長澤はあまりに売れてしまって、以前に比べると僕の興味が薄れたが(笑)、やはり何度見ても可愛い(笑)。
 「ダンドリ。」で主演した時にはある意味勢いで乗り切った感もあった榮倉奈々が、今回は脇役でとてもナチュラルな演技で好感を持たせる。
 高校時代の山下と長澤とのやりとりが、青春時代への懐かしさを感じさせる(年とったなぁ)。エンディングテーマの、桑田佳祐のさわやかなバラードもとてもいい。

セクシーボイスアンドロボ  火曜、22:00、日本テレビ系 ◎
 よく意味のわからない作品名から、単に奇想天外なSF漫画かと思いきや、芯のある非常にいい作品。
 確かに、設定や出てくる登場人物、話の展開は非現実的だ。
 しかし、ストーリーに通底するコンセプトは、ヒューマニズムに溢れている。人間と人間とのふれ合いから生まれる温もり、人に優しくすること、されることの喜び、そして人間の弱さや悔いる心…。
 人間的なもの、人間の人間たるゆえんともいえる価値を訴えかけている。

 主演の松山ケンイチと大後寿々花が非常に好演。このコンビは超ハマリ役だ。
 とりわけ、現在13歳で劇団ひまわり出身の大後は舌を巻くほどの演技力。あまりに上手すぎて年齢より大人びてみえる。10代の俳優でNo.1の演技力だろう。
 このドラマは今期の最も優れた作品になる可能性が高い。

夫婦道 木曜、21:00、TBSテレビ系 ○
 武田鉄矢、高畑淳子、橋爪功という芸達者たちのやり取りは絶妙。「何も事件が起きない、家族の日常を描くドラマ」というふれこみどおり、彼らベテラン俳優の堅実な演技で、奇をてらわないホームドラマが期待できそうだ。
 映画「フラガール」で演技も注目されている南海キャンディーズのしずちゃんが武田・高畑の長女役で登場し、まずまずの演技。ただ、山ちゃんまで出すのはやめてほしかった。

わたしたちの教科書  木曜、22:00、フジテレビ系 ―
 いじめを苦にした女子中学生の自殺をきっかけに、菅野美穂演じる弁護士が学校の闇と対決するというもの。
 「生徒は顧客」という副校長、みんな「いい子」のような生徒たち、その陰にあったいじめ、教育への理想を失いかけている教師たち。学校現場で起きている問題がすでに描かれている。
 どれも安倍内閣が進める教育「改革」の行き着く先のようだ。
 ただ、まだ現時点ではこのドラマでそうした問題がどのように批判されるか、展望が示されるのかはわからない。
 もう少し見てみないとわからないという意味で、評価も保留としたい。
 僕の大好きなラフマニノフの交響曲、ピアノ協奏曲、ヴォカリーズが立て続けに使われているのには驚いた。

特急田中3号  金曜、22:00、TBSテレビ系 ○
 鉄道ファンを題材とした異例のドラマ。いまのところ、出てくる小物や鉄道オタクの言動、執着するポイントなど、鉄ヲタから見てもなかなかよく作っている印象。
 ただ、ストーリーが今後どういう方向へ行くのか。「鉄道ファンを応援したい」という制作者の意図ははたして成功するのか。非常に未知数である。というか心配だ(笑)。
 熱狂的な鉄道オタクとして、この画期的な制作意図に対して拍手を送りたいが、最後まで観るのは鉄ヲタとジャニオタだけという結果にならないものか…。

ライアーゲーム  土曜、23:10、フジテレビ系 △
 戸田恵梨香が初主演ということだけを理由に観始めたドラマ。
 戸田演じる女子大生が「勝てば大金が手に入り、負ければ巨額の負債を負うことになる」という理不尽な「ゲーム」に巻き込まれ、その「ゲーム」を勝ち抜いていくというもの。
 ドラマの中で出てくる心理的な駆け引きや謎解きが、それほど意外なものでなく、息を飲むほどのスリルでもない。今のままではちっょと微妙。

冗談じゃない! 日曜、21:00、TBSテレビ系 ○
 20も年下の結婚相手の母親はかつての年上の恋人だった!
 そのことを彼女(上野樹里)に知られまいとして冷汗三斗の思いであたふたする織田裕二が見ていて可哀想なくらいコミカル(笑)。一方、かつての恋人・大竹しのぶはあっけらかんとした態度で接し、織田をヒヤヒヤさせる。
 なかなかキャスティングもよく、今のところ見ていて軽快なコメディドラマだ。

 どれも悪くないので、7本全部観てしまいそうな気がします…。

2007年4月10日

黄信号。「どんど晴れ」

 4月から新しいNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「どんど晴れ」が始まりました。
 ヒロインが婚約者の実家の老舗旅館に飛び込んで将来の女将として成長していく物語。初めて岩手県が舞台になりました。
 ヒロインはオーディションで選ばれた比嘉愛未。沖縄生まれ、モデル出身の美人です。

 NHKの公式サイトによれば、見どころは(1)伝統に学ぶ心、(2)家族のあり方、(3)運命的・神秘的な人と人との出会い――だそうです。(3)は意味が少しわかりにくいですね。
 チーフプロデューサーの弁によれば、「効率の優先」「結果の重視」「個人主義」がまかりとおる現代には「何かが欠けている」。
 「思いやり」や「気配り」といった、古くから日本人が大切にしてきた価値観、現代社会が忘れかけていた「日本の美徳」を見つめ直すということです。
 この制作側の意図には、僕も共感しますし、期待します。

 さて、放送開始から1週間と少しがたちました。前作の「芋たこなんきん」を挫折してしまい、今作への期待はひとしおなのですが、早くも黄信号が灯っています(笑)。

 物語は波乱からスタート。ヒロイン・浅倉夏美の婚約者である加賀美征樹(内田朝陽)が、それまで継ぐ気はなかった盛岡の実家の旅館を、事情があって継ぐ決意をします。
 ところが、その決意をするにあたって夏美には何の相談もなし。しかも、横浜の実家の洋菓子店でパティシェの道を目指す夏美との婚約まで解消しようとしてしまいます。
 
 こういう展開はほかのドラマでも見かけることはありますが、僕としてはのっけから激しい違和感を感じています。
 こんな大切なことを相談もしない征樹、その征樹の決意に唯々諾々としてパティシェの道を捨てて盛岡の旅館に入るという夏美。この行動と心情が僕には理解できません。
 夏美が征樹をものすごく好きだから、征樹について行きたいのだといいますが、ドラマでは夏美と征樹とを結びつけるものが何なのか、征樹と夏美がお互いにどうして愛し合っていてるのかが丁寧に描かれていないため、夏美が征樹に寄せる強い思いがかえって不可解に感じられます。
 僕はいつも、特に登場人物の恋愛感情や、行動の動機が丁寧に表現されていないドラマに対しては、強烈な違和感を感じます。
 なんだか、あの違う意味で歴史的な作品「天花」と通じる雰囲気すら漂うように感じられる序盤です(笑)。

 また、これは朝ドラのいつもの悪いくせですが、舞台となった土地の「ご当地」色の出し方が、序盤から色濃すぎて、わざとらしさを感じてしまいます。今回は特にその面が強く出ています。
 岩手山が、宮沢賢治が、民話が、座敷童子が、南部鉄器が…と、いきなりお腹一杯です。 もっと慌てずに、少しずつ、さりげなく出していけばいいのにと思います。

 ここで挫折してしまっては、川村ゆきえが見られないこのドラマに期待すべき、「現代社会が忘れてしまった日本のよさ」の再確認をできないままですので、見続けようとは思っています。
 今後の本格的な展開に期待です。

 スタートが芳しくないので、盛り上がっているであろう盛岡、岩手の方々には申し訳ありませんが、おそらくこの作品は傑作にはなれず、数ある朝ドラの中の1つとして埋もれてしまうだろうという予感がします。
 僕のこの予測がはずれることを願います。

 「どんど晴れ」という言葉をご当地で聞いたことがあります。昨年12月に岩手県遠野市のJR遠野駅で、地元のボランティアの方が民話の語り聞かせをしているのを聞いた時です。
 物語の最後に、「これでおしまい」「めでたしめでたし」といった意味で使われるそうです。