さいたま市に昨年10月オープンし、大人気の鉄道博物館の学芸員、岸由一郎さんが、岩手・宮城内陸地震で亡くなったことがわかりました。
僕は岸さんのことはよく知りませんでした。
しかし、インターネットのニュースで鉄道博物館の学芸員が亡くなったと目にした時、「まさか、あのタモリ倶楽部の時の…」と思ったのですが、悲しいことにその通りでした。
鉄道博物館が開館する直前、例によって鉄道ネタを恒例とするタモリ倶楽部で、一足お先に潜入するという企画が2週連続で放映されました。
タモリ、俳優の原田芳雄ら筋金入りの鉄ちゃんたちが大興奮で展示物をみて回るというもの。
そこで、博物館の学芸員として解説をしていたのが岸さんでした。
岸さんが登場した時、僕は「鉄道博物館にも学芸員がいるんだ!」と思ったものです。
落ち着いた語り口で解説をしていた岸さん。
この鉄道博物館の「ヒストリーコーナー」という、歴史的な車輌の展示コーナーを担当し、開館に向けて昼夜わかたず準備していたそうです。
岸さんは、廃線となった鉄道の車輌や設備の保存、活用に尽力していたそうで、著書もあります。
今回は、昨年廃線となったくりはら田園鉄道(宮城県栗原市など)の施設の保存、活用の活動で現地を訪れ、被災しました。
くりでんの保存、活用についての検討委員会が今年2月から立ち上げられ、岸さんはその1人でした。同じく委員で、地域プランナーの麦屋弥生さんも亡くなっています。
お二人の不慮の死は、くりでん資産の保存、活用にとって大きな損失です。
拙ブログを見てくださればわかりますが、くりでんは僕が仙台在住中に足しげく撮影に通いました。廃止当日も最後の列車を見送りました。
また、同検討委員会の委員長である、平川新東北大教授が代表を務める「宮城歴史資料保全ネットワーク」が行った、くりでんの文書資料の保存活動の現場を実際に見る機会がありました。
僕にとってとてもなじみ深い、くりでんの保存、活用にかかわる中で、日本の鉄道史研究をまさにしょって立つ存在の岸さんが亡くなったことは、大きな悲しみです。
本当に、なんという不運なのでしょうか。
この地震で、多くの方が亡くなり、未だ行方不明の方もおり、多くの被災者が出ています。
亡くなった方々のご冥福をお祈りし、被災者の方々の快癒、復興を心から願います。
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