22日、PIEの最終日は始めから閉幕までじっくり参加してきました。
今回お伝えするのは、レンズメーカーのタムロンのブースで開かれた、鉄道写真家・広田泉さんと、女性ではとても珍しい鉄道写真家、フォトライターの矢野直美さんのトークショーです。
熱心な鉄道ファンには説明不要ですが、広田さんはあの広田尚敬さんの息子さんです。
矢野さんは、2000年から鉄道の旅行写真を中心に撮って書く活動をしている方です。
余談ですが、僕は津軽鉄道車内で矢野さんと出会ったことがあります。
広田さんは39歳。矢野さんは年齢未公表(笑)ですが、若手二人のトークはテンポよく実に軽妙です。
まあ例によって、メーカーブースだけに話はタムロンレンズのヨイショから始まるのですが(笑)、その中で印象的だった話を。
矢野 絞り値を、自分の得意技…、この状況では2.8だといくつで(シャッタースピード)切れるなという得意技の絞り値を持っておくと、いざという時に被写体の人に嫌がられないなと思います。
広田 なるほどね。普段は絞り優先で撮るんですか?
矢野 はい、絞り優先ですね。
広田 それで、だいたい今は1/30が切れるなとか、1/60が切れるなとか。(絞りを)2.8に固定することによって、シャッタースピードが出てくるっていう。
撮影旅行の下調べの話では、矢野さんは事前に十分に下調べして、旅先では頭を使わずに感じたままに撮りたいと話しました。それに対して広田さんは…。
広田 僕は下調べなんにもしないんですよ。時には時刻表や地図すら持たずに出かけちゃうんですよ。
直接行って、感じたものをそのまま撮ろうという。
矢野 でも、それ車だから。
広田 あ、そうですね。
矢野 最終列車なくて無人駅で泣きそうになるとか、一度してみるといいと思いますよ。
暗闇の中、道に迷ったあげく、地元のおばちゃんの車に助けられた話をした矢野さん。さらには…、
広田 僕たちだったらそんなこといってもらえない気がする。
矢野 パトカーの運転士さんが…、
広田 パトカーの運転士って、すごい言い方ですよね(笑)
パトカーを交通手段かのようにいう矢野さんに、聴衆からも笑いがおこりました。
その後も、期間中複数回行われたこのトークショーに、矢野さんが時間が近づいてもなかなか現れず、来たと思ったら転んだなど、 相当天然ボケな人柄が広田さんの口から明らかにされました(笑)。
タムロンの28-300mmレンズの手振れ補正効果や高倍率ズームレンズの利点など、持ち上げの話題(笑)のあと、鉄道写真の幅広さについてひとしきり話に。
私、一番最初に写真展をやった時に、一輌編成のディーゼルカーの影が雪原に落ちているのを車内から撮った写真を展示したんですが、会場で必ず「列車はどこに写っているんですか」って聞かれるんです。
広田 はい、はい。
矢野 例えば、ホームにサンショクスミレが咲いていたりとかも鉄道写真ですし。旅をした時に見上げた空とかもそうですし。
広田 はい。その時に食べたものでも、出会った人でも、沿線を歩いてても(矢野「そうです、そうです」)、全部鉄道写真ですもんね。
矢野 なんです、なんですー。本当に広いなーって思いますね。
この鉄道写真の幅広さの話については、僕も全面的に共感しました。
鉄道写真を、単に走っている列車の写真から、鉄道を交差点として交わる人々や自然、生活といった総体的な情景として撮ることの先駆けとなったのが、広田尚敬さんです。
その息子である泉さんも、矢野さんも、そして僕のようなアマチュア鉄道写真家たちも、その影響を受けて鉄道写真にあこがれをもっているんだなと思いました。
お二人は終始こういった調子で、滞ることのないまさにラジオの生放送さながらのトークショー。
実父の広田尚敬さんが、
「知識、愛情、感性、声のはり、間のとり方、集まってくださった方々との一体感、集引力、アイディア、顔と背丈、よい意味での自信、どれもが一級品です」(広田尚敬さんのブログ、2008.3.22付け記事より引用)
と、このように手放しでほめるほどでした。
また聞きたいですね。
(続く)



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