
19~22日に東京・有明の国際展示場(ビッグサイト)で、Photo Imaging Expo 2008が開かれました。
アジア最大の写真関連商品総合展示会です。要するに、ニコン、キヤノンを筆頭に、カメラ、レンズ、三脚、バッグ、プリント用紙等々、写真に関する商品のメーカーが一堂に会する大展覧会です。
商品の展示だけではなく、プロの写真家による講座や、各メーカーのブースでも写真家あるいは有名人によるトークショーなどが数多く開かれます。
仙台にいる間はこういう機会に恵まれませんでしたが、東京に戻ってきて、初めてこの手の展覧会に参加してきました。
参加したい講座がたくさんあり、昼食ぬきにしてもブースを見る時間があまりとれないなど苦労しましたが、楽しかったです。
今回のエキスポを通じて、今まであまり経験のない、自然風景と女性ポートレート(笑)の写真への関心が強まりました。
そのエキスポの模様を、何回にも分けて報告したいと思います。まあ、終わったあとではあまり読む人もいなさそうですが。
まず今回お伝えするのは、ニコンのブースで20日午前にやっていた、鉄道写真家の広田尚敬さんと、写真家の小山伸也さんのトークショーです。
20日は僕は出勤になってしまったのですが、仕事は午後からだったので、午前中このトークショーだけのぞいてきました。
なお、写真は、事情によりこの日カメラをまったく持ってなかったので、携帯でとりました。
広田さんは鉄道写真の第一人者として有名。小山さんも鉄道写真をよく撮るそうです。
今回僕は広田さんを初めて生で拝見しました。
ニコンの企画ということで、終始D300を持ち上げるトークが展開されましたが(笑)、その中にも面白い話がたくさんありました。
D300のAF性能が優秀だという話で、広田さんが撮った、駅に進入してくる列車のパンタグラフの写真がスクリーンに映し出されました。
PS13型というパンタグラフが好きだという広田さん。D300で撮った写真が、ことごとくピントがきていると強調していました。
しかも、「このカメラを開発した人は鉄っちゃんなんだってね」と秘話(?)まで明かしていました。
広田さんは、撮影に三脚はほとんど使わないと話していました。
広田 基本的に手持ちです。自然条件は刻々変わるじゃない。三脚立ててじっくりというのは、僕にはちょっと合わない。
さらに、撮影地で、広田さんとは知らないアマチュアカメラマンと次のような会話をしたという話を(笑)。
アマ 君ねぇ、何で三脚持ってこないの。
広田 いや、僕あんまり使わないんですよ。
アマ 君ねぇ、鉄道どのくらい撮ってるの。
広田 いやー、そんなに長くはないんですけど。
アマ 俺が鉄道の撮り方教えてやるよ。
広田 そうですか。ぜひ。
アマ 露出はわかるか。
広田 いえ、まあちょっと。
アマ いいか、露出はな、こうやるんだ…。
という具合に、広田さんに手取り足取り「教えて」くれたそう(笑)。
広田さんは、そういう場合、謙虚にそのカメラマンから撮り方を「教わり」、こういう撮り方もあるんだなと勉強するそうです。さすがですね。
そのあと、ピントの話に。
広田 やっぱり写真はピントですよね。意識的にはずすこともあります。それもピントです。シャープに撮るのも。
ピントがいい写真って気持ちがいいじゃないですか。
そして、いい写真を撮るには、カメラとレンズを信頼すること。そして慣れること。この2つに集約されると思うんです。
もう一つ大事なのは、自分を、自分の感性を信頼することですね。
D300の高感度画質も素晴らしいということで、夜の踏み切りで東海道本線のE231系をISO3200で撮った写真を映し、ここまで撮れたら無敵だと絶賛する広田さん。
このあと、銚子電鉄の「鉄子の旅」ペイント列車の出発式を取材した時の写真を映し、テープカットをしている女性タレントの名前がわかる人、と会場によびかけました。
意外なことに誰も答えようとしなかったので、僕が「豊岡真澄さん」と答えてしまいました(笑)。これが広田さんとの初会話でした(笑)。
北海道の標津で出会った元SL機関士の写真を見ながら、広田さんは人物スナップ撮影の話を。声をかけて撮らせてもらった時のことを話しました。
広田 ポートレートは構えると免許証の写真になってしまうので、タイミングよく、返事をもらう前に撮ってしまう。
この方は態度で撮らせてくれるなとわかりましたので。
小山 先生は、鉄道員の方々、乗客の方々をずいぶん撮られていますよね。
広田 撮られてああよかったという写真にしたい。これは列車もそう。列車がこんなにかっこよく撮ってくれて幸せだと思えるように撮ります。だからトラブルはないです。
興味深かったのは、モノクロ写真を撮る時とカラーとの違いでした。駅のそばの自転車置き場の写真を例に…。
広田 この自転車はカラーだと存在感があるのですが、モノクロだともう少し近づかないとよくわからない。
だから接近して撮りました。
止別駅構内のラーメン屋の窓際、花瓶の花など色々なものが並ぶ光景の写真では…。
広田 カラーの写真は色彩を印象的にするために(花に)接近して撮っている。モノクロは雰囲気出したいから、引いて撮った。駅舎の雰囲気を出すために。花に接近した写真をモノクロで撮ると、色がなくて寒々しくなってしまう。
小山 撮り方が違うんですね。
最後にいい鉄道写真を撮るには、と小山さんから聞かれて。
広田 安全第一に撮ることが長く、いい写真を撮る秘訣です。
広田さんは三脚をあまり使わないという点は僕と違います。僕は、やはり鉄道写真でも構図を厳密に決める必要から三脚が必要だと思っています。
ポートレートを撮る時の意識は、僕も心がけていることと共通していました。その人の雰囲気から撮らせてくれるかどうか察する、そして相手に身構えさせないうちに撮ってしまう。一応、僕も気をつけています。
そして何より、相手が撮ってもらってよかったと思える写真を撮る、これも僕も一番大切にしていることです。
カラーとモノクロの撮り方の違いはとても勉強になりました。
(続く)
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