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2007.05.13(日)

鉄オタに追い風は吹くのか(3)

鉄道

D20_2789.JPG いま、もし「鉄道ブーム」というものがおきているとすれば、それを後押しする力になったといえる番組がある。
 2004年5月6日~6月23日までNHK・BShiで放送された「列島縦断 鉄道12000キロの旅 ~最長片道切符でゆく42日~」だ。

 JRの切符は、同じ駅を2度通らない限り、片道切符として距離を通算して運賃計算することができる。100km以上の切符なら原則として途中下車ができ、距離が長いほど切符の有効期間も伸びてゆく。
 頻繁に途中下車するような旅の場合、出発地から終着地までの乗車券を買って途中下車するほうが、降りる度に次の駅まで買うより安くなる。

 この番組は、俳優の関口知宏が、全国のJRの可能なかぎり長い距離の片道切符で旅をするというもの。東京大学の研究室の協力でコンピュータによる計算をもとに実に複雑な一筆書きの経路が決められた。
 北海道の稚内から佐賀県の肥前山口まで、全長11,953.5km。有効期間実に57日の片道切符を手に、関口がのんびりした旅を続け、しかもそれを毎朝生中継するという番組だった。
 BShiだったので僕は見られず、週末に総合テレビで放送された週ごとのダイジェストを楽しんだ。

 この番組は、鉄道ファンはもちろん、一般の人に広く好評を博した。

 スケッチブックと笛、作曲するためのノートPCなどを詰めたリュックを背負い、関口は北から南へ。
 行く先々で、美味しそうな駅弁、風光明媚な車窓の風景、その土地の人々との出会いが映し出された。
 関口は民謡など各地に根付いた芸能にふれ、子どもたちとの心温まる交流も何度もあった。
 温泉浴場が併設された駅、喫茶店になっている駅など、ローカル線のちょっと変わった駅もたびたび登場し、そこに憩う地元の人々の表情がテレビを通じて全国に発信された。

 関口は、毎日旅の印象に残る情景をスケッチブックに描きとめていった。
 テレビを見ている人には、「そろそろうちの町にも関口さんが来る」という気持ちがあった。

 いつも僕はテレビで見ながら「いいなー。旅したい」と思った。新聞の投書にも中年女性が「関口さんがうらやましい。私がやりたいくらい」と書いていた。
 きっと、テレビの前で多くの人がこんな気持ちを抱いたに違いない。

 この番組の続編として、2005年にはJRの全路線を旅する「列島縦断 鉄道乗りつくしの旅~JR20000km全線走破~」が、春と秋の2回に分けて放送された。
 さらに、現在は舞台を海外に移し、「関口知宏の中国鉄道大紀行 ~最長片道ルート36000kmをゆく~」が放送中だ。

 「効率」「スピード」が跋扈する今の日本にあって、それらの対極に位置するのんびりした「汽車旅」を、多くの人が一種のあこがれや共感を持って受け入れたのではないだろうか。
 また、これまで日本社会を支え、一心不乱に働いてきた団塊の世代の人たちが、あらためて自分の楽しみや趣味として旅行や鉄道に目を向けているのかもしれない。

 なぜ今「鉄道ブーム」か。その答えを探ろうとすると、現代日本の様々な断面が見えてくるようにも思える。少しおおげさだろうか。(続く) 

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