今、明らかに以前と比べて頻繁にテレビで鉄道が、そして鉄道オタクが取り上げられている。このことについて詳しく取り上げる前に、深夜バラエティ番組「タモリ倶楽部」のことにふれる必要がある。
先日別のエントリーで書いたが、ちょっと変わったテーマや企画を取り上げて異彩を放っている「タモリ倶楽部」。今年で25年の長寿番組だ。
この「タモリ倶楽部」で、近年鉄道をネタにした企画が非常に増えている。
そもそもタモリは熱心な鉄道ファン。そして、この番組は気泡緩衝剤の「プチプチ」のことやら、マンホールのことやらと、雑学的でマニアックな事象に目を向けてきた。
そう考えると、「タモリ倶楽部」と鉄道との親和性は非常に高く、ネタとして取り上げられることに不思議はない。むしろ必然的であったといえるだろう。
今の「鉄道ブーム」(があると仮定しておこう)に先駆け、「タモリ倶楽部」は数年前から鉄道ネタを取り上げ始めた。
僕の「タモリ倶楽部」の視聴歴は浅い(まさに鉄道ネタをきっかけに見始めた)ので、この番組のファンサイトに頼って調べたところ、契機となったのは2001年1月に、アイドルらの所属で有名なホリプロマネージャーの南田裕介が出演したことのようだ(当時は優香を担当)。
表に出ることの少ない、タレントのマネージャーに光を当ててしまうのが面白いところだが、この出演を機に南田がかなり濃い鉄道ファンであることがわかり、この回ではタモリと鉄道、特に京急の話で盛り上がった。
その後、「タモリ倶楽部」の鉄道企画は南田マネージャーの出演とともに発展してゆく。
理由はよくわからないが、03年から鉄道ネタの頻度が非常に上がり、それとともに南田の出演回数も増加。さすがにマネージャーを単独で出演させるわけにもいかず(?)、担当しているタレント豊岡真澄とセットで登場する。
同年2月に放送されたのは「行けるのはどっち!? in 豊洲・晴海[廃線vsスイーツ]」。
最近デートスポット化してきた東京臨港部の豊洲、晴海を舞台に、タモリがタレントやアイドルたち、そして南田らとともに、鉄道の廃線跡とスイーツのお店を巡るというすごい企画だったらしい。僕には両方たまらない(笑)。
9月には「東京ホテルランキング ~トレインビュー編~」。これが僕が初めてこの番組を見るきっかけとなった。
首都圏のホテル、旅館を、客室の窓から見える鉄道の景色で格付けするというもの(笑)。窓から見える線路、そして行き交う列車に喜びをの声をあげるタモリと南田の様子に強い共感を覚えたものだ(笑)。
12月には「鉄道の見えるBARで電車グッズを肴に一杯やる」で、鉄道ファンとして有名な俳優原田芳雄も登場した。
04年4月には「ダイヤ改正記念! 貨物時刻表でダイヤを確認しよう!?」で貨物時刻表を取り上げた。この年貨物時刻表が売り切れ、初めて重版されるほどの影響をもたらした。
8月には「鉄道のダイナミックな走りを並走で満喫しよう!!」で、こちらも有名な鉄道ファンの向谷実(カシオペア)が登場。12月には「小湊鉄道一日入社!『タモリ・芳雄の出発進行!』」。
05年は2月に「駅中留学!車内アナウンスで英語をマスター!!」、4月に「日本全国踏切大賞!」。11月には「真の電車男大集合!大学鉄道研究会対抗「電チラ」選手権!!」に、「南田裕介プレゼンツ:埼京線ダービー」が前後編と、なんと3回も鉄道ネタが続いた。
06年はさらに鉄道ネタが加速した。
- 「タモリ電車クラブ入部審査会」(2月)
- 「東出マネージャーと聖地巡礼:KATOを1日周遊」(3月)
- 「タモリ電車クラブ:東急目黒線地下工事区間を行く!!」(4月)
- 「~鉄人予備校~「北斗星」に乗った時の正しい行動の仕方講座」(6月)
- 「ホリプロ南田持ち込み企画第2弾:鉄道マージャン 東風線!!」(9月)
- 「第2回大学鉄道研究会対抗「電チラ」選手権日本全国大会」(11月)
今年も「京浜急行電鉄(株)全面協力:赤い電車に乗って京急久里浜車両工場へ行こう!!」(1月)、「来てよし!見てよし!休んでよし!今夜決定!三ツ星ステーション」(4月)とすでに2本の鉄道ネタが放送された。
後者では、連載2回目でふれた全駅下車の横見浩彦氏が登場した。
「日経エンタテイメント!」6月号によると、「タモリ倶楽部」は「業界視聴率」が高く、この番組で鉄道ネタを取り上げ、芸能界内の鉄道ファンを出演させてきたことが、「仕掛け人」的役割をはたしてきたと見ている。
「タモリ倶楽部」が「鉄道ブーム」の最大の原動力だとは思わないが、芸能界内、テレビ業界内で鉄道ファンの「組織化」を進めてきたのは事実かもしれない。(続く)
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