NHK朝の連続テレビ小説「純情きらり」はピアニストになることを夢見たヒロインの物語ということで、劇中ではピアノの演奏シーンが多く見られました。
特にクラシックファンである僕にとっては、ベートーヴェンなどのピアノ曲を演奏するシーンが魅力的でした。
物語の序盤、有森桜子(宮﨑あおい)と松井達彦(福士誠治)が東京音楽学校を受験する場面では、二人がベートーヴェンのピアノソナタを練習するシーンがありました。
桜子は第5番を、達彦はより難度が高いとされる第7番を演奏曲に選んでいました。二人の会話ではソナタの番号ではなく、作品番号でよんでいたようでした。
ピアノの道と家業の味噌屋を継ぐこととのあいだで葛藤した達彦は自分の気持ちを激しく鍵盤に叩きつけました。演奏された曲はベートーヴェンのピアノソナタ第23番「熱情」や、ショパンのポロネーズ第6番「英雄」。収録時の演奏はピアニストか音大生が行ったようですが、福士自身も少しピアノを弾けるそうです。ピアノを前にした達彦の真剣な表情は素晴らしかったです。
その「英雄ポロネーズ」を、達彦が出征してしばらくあとに「山長」で桜子が弾きました。音信不通の達彦はもう戦死してしまったのだと諦める達彦の母・かね(戸田恵子)は悲しみのあまり「あんたのへたくそなピアノなんか弾かないでおくれ」と声を上げます。
「英雄ポロネーズ」がこんなに悲しく聴こえたのは初めてでした。
達彦が出征する直前に二人が挙げた「結婚式」では、リストの「愛の夢」第3番を連弾。このドラマの中で最も幸せいっぱいの場面でした。
その「愛の夢」を、かねが亡くなる直前に桜子が達彦の部屋で弾きます。命が尽きる間際のかねが桜子に「ピアノを弾いてほしい」と頼んだのでした。桜子がピアノを弾いていると、かねの枕元と桜子のそばに軍服姿の達彦が幻影となって現れました。
達彦は戦死してしまったのか?──。「愛の夢」が悲しい旋律となったシーンでした。



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