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2006.09.16(土)

「純情きらり」の名優たち

 NHK朝の連続テレビ小説「純情きらり」は、主役から脇役まで、素晴らしい俳優たちの魅力によって命を吹き込まれています。

 このドラマで主役の桜子とともになくてはならない存在の松井達彦を演じた福士誠治は、観る人の胸を打つ演技で今回を機に最も名を知られることになった俳優でしょう。
 老舗の跡取りという立場のせいで音楽の道を閉ざされそうになりながら、「自分は音楽をやりたい」と主張し、その思いを"熱情"的にピアノにぶつける姿。一途に桜子を見つめ続ける涼しげな眼差し。戦地で言語を絶する苦難を味わい、九死に一生を得て帰ってからも心の傷に苦しみ、桜子らに支えられて少しずつまた前を向いて歩いていく──。
 必要以上に激することなく、それだけに達彦の気持ちの動きを深く表す演技を見せていると思います。
 学生服、「山長」の法被、軍服と、それぞれがよく似合っていたのも印象的です。

 桜子と深いところで理解し合っている、画家の杉冬吾を演じた西島秀俊。一時期テレビの仕事から離れていたせいか、この俳優のことをよく知りませんでした。
 桜子や達彦のピアノのように絵を描くことを命のように大切にし、外からの力によってではなく自分の中から湧き出る意志で表現していくことを頑なに守り続ける冬吾の生き様は、人間の本質的な姿の一つを表していると思います。これは冬吾だけでなく、このドラマに登場する多くの人たちの中に流れていることだと思います。
 達彦と同じく、深い思慮で物事を見つめ、しばしば桜子の心の支えともなった冬吾。その反面、時々見せるとぼけた一面もまた魅力的でした。津軽弁もとても味わいがあって温かみを感じさせます。
 西島が話す方言とイントネーションはおそらく、地元の人や専門家にいわせれば本物ではないのかもしれませんが、津軽弁は本物にしてしまうと他地域の人は聞き取れなくなるので、デフォルメしてあるのでしょう。これは岡崎弁についてもそうかもしれません。ドラマの方言について「本物じゃない」とあまり細かく突き詰める必要はないのではないかと僕は思っています。

 福士と西島は、同性から見てもとてもかっこいいなと思える俳優。全国の女性ファンの心をつかんでいることは間違いないでしょう(笑)。

 訳有って手放した実の息子と時を経て再会し、母としての喜びを感じながらも息子の元からは身を引く、磯(桜子のおば)を演じた室井滋は名女優ここにありの名演。ただ単に涙を流すというわけではない細やかな演技に、胸を熱くしました。
 老舗の女将として達彦に厳しく当たり、「山長」を支えた松井カネを演じたのは戸田恵子。達彦は戦死したのだと思い、彼女なりのやり方で桜子の幸せを願って「山長」から追い出そうとしたところなど印象的。存在感がありました。長年のライバルである磯との掛け合いも見物でした。

 「純情きらり」は、俳優の演技力において脇役に至るまで史上最強の層の厚さを誇ったドラマだと思います。「山長」陣ではまず、朴訥な職人役が似合いすぎる塩見三省。「甘辛しゃん」を見ているのかと勘違いしそうになりました(嘘)。コミカルな味を添えた徳井優もよかった。
 音楽教師、ピアニストとして自分を通そうとした西園寺公麿役の長谷川初範。その西園寺に恩がありながら一度は期待を裏切ってしまったサックス奏者・秋山均役の半海一晃。戦乱の中で落ちぶれた姿を恥じるシーンでは、人間の尊厳というものを感じさせられました。
 桜子の祖父・徳治郎役の八名信夫、時代に翻弄されながらも泥臭く生き、周囲に明るさを与えてくれる画家・花岡八州治役の相島一之、達彦よりも早く戦場のトラウマに苦しみ、桜子の姉・杏子(ももこ)と結ばれる鈴村浩樹役の高橋和也、さらには、喫茶店マルセイユのマスターとして、桜子たちの喜びも苦悩もそっと見守ってきたヒロ役のブラザートムもとてもいい味を出していました。

 一人ひとりの人物が生きいきとした魅力を放っている「純情きらり」。俳優陣の力だけではなく、それを引き出す脚本と演出の力もあって初めて、テレビの前の人たちに感動を与えているのだと思います。

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コメント (2)

コメントをありがとうございました。TBさせていただいたのですが、言語設定が日本語になってなかったようで文字化けしてしてますね。すみません。
再度送らせていただきますね。お手数ですが文字化けの方は削除していただけますでしょうか?
さてこの朝ドラ、本当にいいですね。キャスティングがベストです。そしてどのキャラクターも魅力的で、世知辛い世の中をしばしの間、忘れさせてくれます。

Hoso:

オルサさん、このドラマは俳優たちの魅力をも教えてくれるものとなりましたね。
登場人物たちの「自分」を通す生き方に感動するのは、今の日本で「自分」を持つこと、通すことがややもすれば難しくなってしまっているからかもしれませんね。

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