NHK朝の連続テレビ小説「純情きらり」が今日最終回を迎えました。脚本の浅野妙子さんが「今回は何もなしえなかった女性の人生を描いた」というとおり、これまでの朝ドラにはない結末になりました。
今までこの「日々雑感」で何度も書いてきたので繰り返しはなるべく避けますが、今回の「純情きらり」は少なくともこの20年間の朝ドラで最高の傑作といえると思います。
過去の朝ドラとは違い、戦争反対、民主主義と自由を守りたいというメッセージを強く出したものになりました。
昨年、NHKが自民党の政治家の圧力に屈して番組の内容を改編していたことが明らかになり、大問題になりました。いま首相の座に就いたばかりの安倍晋三と自民党政調会長になった中川昭一が、日本の戦争犯罪に関する番組の放送中止を求め、結果的に内容が大幅に変えられたのです。
このほか諸々の不正が明らかになり、NHKへの強い批判と受信料の不払いが広がりました。
おそらく、今回の「純情きらり」をはじめ、最近NHKで良心的な番組がいくつか生み出されていることには、この強い批判が反映しているのでしょう。
NHKの政府、自民党との癒着の問題は全く解決していませんが、プロデューサーがその問題を内部告発したことや、「純情きらり」が生み出されたことなどからは、現場に良心を持ったスタッフが存在することを感じさせます。
浅野さんは、最近過去の侵略戦争を肯定する言動が強まっている状況に危機感を感じているといいます。
NHKに介入した二人の超タカ派政治家が政府と自民党の中枢に座る今、この作品が生まれたことは偶然ではないかもしれません。
前に書いたとおり、「純情きらり」は過去の作品と比べて、俳優陣の層の厚さが際立ちました。脇役、「チョイ役」に至るまで素晴らしい演技が見られました。
それだけに、主役の有森桜子を演じた宮﨑あおいの演技力の高さをあらためて感じます。寺島しのぶ、室井滋、西島秀俊、新進の福士誠治など、きわめてレベルの高い脇役たちに囲まれながら、彼女は少しも負けていませんでした。遠くない将来に日本を代表する女優になるだろうなと思います。
僕は8月の末頃を挟んで6日間に渡る旅行をしたとき、予約録画した「純情きらり」が5回分たまりました。
従来の朝ドラは、正直いって5回もたまるとそれを見るのに少し苦になるものでした。しかし、今回は続きが楽しみで、たまったビデオを立て続けに見ました。
最近の朝ドラと比べて、視聴率も好調のようです。安倍首相は見ていないかもしれませんが(笑)
この作品のよさが多くの人に受け入れられているという状況に少し希望を感じます。
「日々雑感」が一つの朝ドラを何度も取り上げたのも異例のことでした(笑)
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