2006年4月アーカイブ

2006.04.30(日)

 NHK朝の連続テレビ小説「純情きらり」。とても面白く、少し気が早いですが名作の誕生を予感させる滑り出しです。

 朝ドラでは久しぶりの時代物。戦争が出てくる作品はかなり間が空き、1999年の「すずらん」にまでさかのぼります。憲法改悪の動きもある中、戦争や平和と向き合った作品がもっとつくられるべきだったとも思います。

 さて、今回の「純情きらり」は、戦前の1920年代の愛知県岡崎市から物語がスタート。ヒロイン・有森桜子(宮﨑あおい)がジャズピアニストの道を目指し、戦争を挟む波乱の時代を生き抜く話です。
 音楽好きの両親の影響を受け、次第にピアノ奏者を目指すようになる桜子は、「ジャズなど、はしたない」「女は早く嫁に行って家事をし、子を産むのが幸せ」などという古い(当時としてはおそらく普通の)価値観との衝突に悩みます。羽を伸ばしてはばたこうとする鳥のように自分の可能性と自由を求めようとする桜子の姿が肯定的に描かれ、宮﨑あおいもそれをとても溌剌と演じていてさわやか。ドラマでは影を濃くしつつある戦争への批判も垣間見えます。

 ある時は教師の「指導」、またある時は祖父や姉の説教などの形で、古い価値観が桜子の行く手を阻みますが、自分が正しいと思ったことを貫く強い意思をもち、まっすぐに歩いて行こうとする桜子の生き方が魅力的で、周囲の人々にも影響を与えていきます。近年の朝ドラでおそらく一番の、このヒロインの芯の強さがドラマの芯にもなっていて、とても感情移入しやすいドラマになっていると思います。

 出演者の一人ひとりが素晴らしく、演技が充実しています。桜子役の宮﨑あおいはとても可愛らしく、かつ桜子の魅力を十分に表現しています。僕が演技を観るのは意外にもこのドラマが初めてですが、子役から鍛えられているという演技力は抜群です。

 脇役には錚々たるメンバーが揃い、ここまで穴のない朝ドラは記憶にないほどです。桜子の一番の理解者で、当時の人とは思えないほど自由な考え方を持った父・源一郎を、三浦友和が知性と優しさを感じさせて好演しました。
 古い価値観に凝り固まるがゆえにしばしば桜子とぶつかり、長女として父の事故死後の有森家を支えようとする笛子役は寺島しのぶ。桜子に感情移入して観ていると笛子が憎らしく思える時もあるほどで、あらためて寺島しのぶの演技力に感嘆します。
 有森家に下宿人としてやってきた物理教師の斎藤直道を演じるのは劇団ひとり。ドラマにお笑いタレントが登場すると、浮き上がったり、悪い場合はただの話題づくりになってしまうことがありますが、今回のドラマに見事にマッチした劇団ひとりの演技に驚いています。
 実は桜子のことをよくわかっている弟・勇太郎役の松澤傑や、出演は短かったものの将来が頼もしい演技でバトンを渡した桜子の幼少期役の美山加恋も印象に残りました。

 今回その演技力に一番驚いたのは次女・杏子(ももこ)役の井川遥です。僕が知らなかっただけですが、今までもドラマなどの出演は少なくなく、受賞経験もあるようです。
 母・マサ(竹下景子)を病気で早くに失った有森家の家事を支えてきた杏子は、父亡き後、桜子の音楽学校進学の夢をかなえようと、見合いで資産家と結婚。夫との間には愛情のかけらもなく、夫とその母に厳しくされて家政婦のように働く毎日。悲哀のにじむ表情で妹のためにと耐える姿に多くの視聴者が痛みを感じたのではないでしょうか。

 4月29日放送分は、序盤の一番の名シーンでした。杏子が嫁ぎ先でひどい目にあっていることに気づいた桜子が杏子を実家に連れて帰り、夫は杏子を連れ戻しに来ます。真剣に杏子の夫に立ち向かう桜子に心を動かされ、杏子の縁談を積極的に進めた叔母の磯(室井滋)もついに杏子の夫の前に立ちはだかる。胸を打たれるシーンです。
 夫が帰ったあと、いつもの明るさに戻って「今の騒ぎで喉が渇いたね。麦茶でも飲もうかね」という磯と、笑顔の家族たち。その途端、堰を切ったように涙を流す杏子。観ているこちらも涙でした。

 大島ミチル の音楽も素敵です。

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2006.04.25(火)

 安全よりも利益を第一としたJR西日本の経営姿勢によって107人の尊い命が奪われた、福知山線脱線転覆事故から1年になりました。今日の午前9時18分には僕も簡単ながら黙祷をし、ネクタイは黒に近い色のものを選びました。

 事故の根本的な原因は、安全ではなく「稼ぐ」を第一目標に掲げるようなJR西日本の体質からくる、安全面での設備投資の遅れ、過密ダイヤ、運転士をはじめ職員に対する圧迫的な労務管理であることが明らかになっています。
 JR西日本の山崎正夫社長は同社主催の追悼式典で「申し訳ございませんという言葉以外、私には言葉が見つかりません」とのべました。しかし、お詫びの気持ちが本当にあるのならば、JR西日本がこれまで安全をかなぐりすてていたことをはっきりと認め、それを改めるという姿勢を見せるべきではないでしょうか。そうしなければ、この事故を起こしたことへの反省にもならず、今後こうした事故を起こさないという決意にもなりません。

 そういう姿勢がないからこそ、多くの遺族が「JRは説明責任を果たしていない」と不信感を募らせているのだし、伯備線での保線作業員の死亡事故のように過ちが繰り返されてしまうのです。
 「合理化」などという言葉で大切なものを切り捨ててきたツケは重い。伯備線の事故のあと、線路の見張り役を上下両方向に置くことを検討したものの、それを実現できないほどに職員を削減してしまっていることにも現れています。

 事故の根本をさらに突き詰めると、資本主義社会で利潤を追求する企業の本性と、交通輸送という公共的機関の役割との矛盾にまで行き着くのではないでしょうか。民営化や規制緩和を進めてきた政府、自民党を始めとする政党、その害悪を告発して来なかったマスコミにも責任があると思います。
 JR西日本が自浄能力を示せない以上は、航空・鉄道事故調査委員会が事故の根本原因をしっかり解明することが絶対に必要です。そのことなしに遺族、被害者の傷が癒されることは絶対にないでしょう。

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2006.04.16(日)

 冬が長いこちら仙台でもついに桜が開花しました!(13日)街のあちこちで咲き始めた桜の花が、いよいよ春が近いことを知らせています。まだ咲き始めですが、木によっては八分くらい咲いているものもあって驚きました。

 それでもまだ春になった!という実感はありません。今日の仙台の最高気温は11℃。地元の人はどうか知りませんが、僕は真冬のコート、マフラー、手袋が手放せません。帽子をかぶらなくなったあたりが、春が近いということでしょうか。
 僕の自宅の裏は山。1ヶ月ほど前から鶯が鳴いています。寒いけどやっぱり春なんですね。

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2006.04.11(火)

 更新が空いてしまったうえに、今回は古い話題を(笑)

 NHKの朝の連続ドラマ「風のハルカ」が先日終了しました。すでに「純情きらり」が始まっています。朝ドラについて批評するのがこのコーナーの定番(?)になっているのに、放送中に書けずすみません。
 この作品はおそらく「傑作」とはいえませんが、なぜか最後まで楽しく見続けました。舞台が九州だったからというのもあるでしょう。出演者の好演が光り、それぞれのキャラクターの人間臭さに感情移入しやすかったからかもしれません。

 ヒロインの村川絵梨は、快活でチャレンジ精神旺盛、幼い頃に離婚で離れた母親への屈折した愛情を持つ水野ハルカをよく演じました。人間の感情の機微にふれる演技はまだ未知数で、今後の成長に期待したいと思います。
 村川と同い年ながら妹・アスカを演じた黒川芽以は、両親の離婚を題材に書いた小説が受賞し、作家デビューするなど姉よりも大人びた面ももつキャラクターを好演。子役から経験を積んでいるそうで、17歳と思えぬ演技力も道理です。はっきりいってとても好みです(*^^*)。ちなみに、ネットでさっと調べたところ、1987年生まれの女性芸能人は、長澤まさみ、柊瑠美、本仮屋ユイカ、井上真央と卓越した演技力を持つ子が多い。

 実は、最もよかったのではないかと思うのは、倉田正巳を演じた黄川田将也。老舗旅館の跡取りの重圧に苦しみ、何度も物事から逃げ出してしまう弱さもあれば優しさもあるという役柄を見事に演じました。このドラマで好きになった視聴者も多いだろうと思います。
 このほか、血のつながりはなくてもとても温かくハルカたちを愛してくれた、ハルカの母木綿子の恋人・青木健二役の別所哲也、湯布院の老舗旅館の主・倉田宗吉役の藤竜也、レストランを持つ夢を苦悩と試行錯誤の末にかなえるハルカの父・陽介役の渡辺いっけい、ハルカとお互いに一番の理解者となり、最後には愛し合う写真家・猿丸啓太郎を演じた松岡充(SOPHIA)らが出色の演技でした。

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