今日は日本が歓喜に包まれた一日でした。トリノオリンピック女子フィギュアスケートで、荒川静香が欧米以外の選手として初の金メダル。村主章枝も前回のソルトレーク五輪を上回る4位に入賞しました。
SPの採点では荒川、スルツカヤ、コーエンが僅差で並び、今日のフリーに全てがかかりました。ところが、終わってみれば荒川の圧勝。実際、彼女の演技はライバル2人を圧倒していました。
おそらく、持っている技術においては、荒川とライバル2人に大きな差があるわけではないでしょう。特に、スルツカヤは日本にとって「大きな壁」に見えました。しかし、今日の演技に臨む精神状態は、荒川とライバル2人との間に大きな違いがあったのでしょう。
「金」というメダルの色になみなみならぬ思い入れをしてこの日を迎えたスルツカヤ、コーエンに対し、荒川はメダルのことを考えなかった。自分の前に滑ったコーエンの演技も一切見ず、全てを遮断してリンクに向かいました。「無欲の勝利」という言葉がありますが、このことほど難しいことはないと思います。平常心を保った荒川の姿勢には驚嘆します。
村主はメダルまで本当にあと一歩。難度の高い技をあまり持たないにもかかわらず、ここまでの成績を残せたのは、他の追随を許さない情感あふれる演技力によるものでしょう。村主は現在の選手の中では異彩を放つ存在として注目されていますが、本当は彼女のような強い表現力で観客を魅了する選手がもっと出て来てほしいものです。
でも、それはちょっと難しいことかもしれません。今日のフリーの採点を見ても、大事なポイントで2回も転倒したコーエンが村主より上というのは全く納得がいきません。今の採点基準では村主の魅力は計れない──というより、採点基準が観客の気持ちと大きくかけ離れている。これでは村主のような魅力を持つ選手は生まれないし、フィギュアスケートの魅力を狭いものにしてしまうのではないでしょうか。
今回ほろ苦い思いをした安藤美姫は、この経験が力になる──それは荒川の背中を見ればわかるはずです。浅田真央の成長も楽しみですし、まだ見ぬ“新星”の登場もあることでしょう。なんと村主も「次」を目指すといっています。
今日は、日本女子フィギュアの黄金時代の幕が切って落とされた日なのかもしれません。